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専業トレーダー DaTsU

日柄・季節性

今回は「目先の事象」や「決まっているから」ということに惑わされてはい
けないということについて書かれているものと取り上げて見ました。米相場特
有の言い回しもありますが、現在の株式相場に応用できるものも多々あり、大
いに参考にしたいものです。


豊年の凶作、凶年の豊作ということあり。但し、ニ三年上作、国々米沢山にあ
る時、不作にても深く構いにならず、四五年、半六分七分にて米不足する時は、
上作にても米上がるなり。すべて、上作ニ三年続く時は、不足の心を忘れ、怠
り飽くことのみにて厭わざる故、左様の節は一両年の内、手の裏かへしの高値
出ると心得べし。

 豊年の凶作、凶年の豊作、という矛盾するようなことがあります。これは2
~3年豊作が続き、国中に米が余っているようなときは、一年くらい不作の年
があっても大きな影響はなく、逆に4~5年、不作の年が続くと一年だけ豊作に
なっても米が不足するようなこともあるのです。豊作が2~3年続く時は米が不
足して困ったときを忘れて倹約などもしないで米を浪費するのでこういう時は
一両年中に米が不足し、手のひらをかえしたように、米相場も高値が出るので
す。

 これは相場に対する投資家の心得と同時に、ファンダメンタルズを見る上で
の教訓として役に立つ言葉です。好業績が何年も続いた後というのは多少業績
に陰りが見えてもまだ割安に放置されているような銘柄もあり、逆に好業績が
長年続いていただけに多少の業績の落ち込みが一時的なものか、長期凋落の始
まりなのか判断に苦しむようなことも出てくるのです。その中で、「豊年」が
続いて気持ちが緩んだことで業績に陰りが見えたものか、「豊年」が続きまた、
「次」への踊り場として業績の伸びが一服となったものかを見極めることが重
要となってきます。目先の業績だけではなく、先行きへの見通し、あるいは過
去の業績がどこまで株価に織り込まれているのかを見ることが投資をする上で
も大切ということです。ここで言うように「豊年」⇒「米余り」⇒「相場下落」
、「凶年」⇒「米不足」⇒「相場上昇」、と安易に決め付けてかかるのは間違
いの元で、どういった「豊年」=「好業績」、なのかどこまで織り込まれてい
る「凶年」=「業績悪化」なのかを見極めることが重要なのです。


 六月土用の入り六日の内に、丑の日あれば秋風早く立つ故、作悪しきなり。
七月七日の雨、大雨はそれほどになし、少雨は大いに作に悪しきなり。秋の彼
岸、一日にても九月へ掛かる時は、決して不作なり。後るるが故なるべし。日
蝕は四つ前時より八つ過ぎまでにあれば作に悪しきなり。その外前後は構いな
しとなり。然れども日蝕月蝕ある年は是まで大小となく不作なり。厄日は八十
八夜無難なれば二百十日無難なりという。

 6月の土用の入りから6日のうちに丑の日があれば、秋風が早く立ち、作柄は
悪くなります。7月7日の雨、や大雨はそれほど影響はないのですが、雨が少な
い場合は大いに作柄に悪影響となります。秋の彼岸が一日でも9月へ掛かる時
は必ず不作になります。どうしても成長が遅れるからです。日蝕は午前8時か
ら午後4時くらいまでにあれば作柄に悪影響を及ぼし、その他の時間であれば
影響はないのです。ただ、日蝕や月蝕のある年は大小の違いはありますが、不
作の年となります。厄日は八十八夜が何事もなければ、二百十日も何事もない
と言われます。

 これは相場の習性というか、いわゆる「アニバーサリー」と言われることを
述べたものであると思います。米相場と株式相場とではいろいろと違いはある
ものの、昨年の相場などを見ても3ヶ月ごとに、四半期決算のあるたびごとに
相場の上げ下げが見られました。つまり、決算発表前には「悪い決算を発表す
るのではないか」と手控え気味になり、手仕舞いの売りで値を崩すものも見ら
れ、軟調な相場となるものが多くなりました。ところが決算が発表されると
「思ったより悪くない」ということで買い直され、相場が上がるというような
ことが3ヶ月ごとに繰り返されたのです。また、12月は外国人投資家の決算が
あるため株は手仕舞い売りに押され、1月は外国人投資家が新年度に入り買い
直すので高くなる、というような季節要因が注目されることもあります。また、
10月は暴落することが多い、とか4月が陰線(月の始めが高く、月末が安いこ
と)時はその年は安い、とかジンクスめいたことが言われることもあります。
ちゃんとした根拠のあるもの、ないものいろいろありますが、個別銘柄も相場
全体も、相場の周期的な動きや、季節性、というところに目を向けてみるのも
投資のヒントとなることもあるのではないかと思います。


 足らぬものは余る、余るものは足らぬと申すことあり。但し、多きものは諸
人沢山と心得、油断して覚悟せず、それゆえ極意不足するなり。不足なる物は
人々、油断なく、覚悟としてととのへ置く故、極意は余るなり。

 足らないものが余り、余っているものが足りないということがあります。こ
れは、誰もが沢山あると思うと油断して、無駄遣いばかりするので最後には足
りなくなり。足りないとわかっているものは、無駄遣いせずに余裕を以って、
倹約して調整しながら食べるので最後は余るようになるのです。

 これも株式相場に置き直すと「売られ過ぎ」「買われ過ぎ」ということにつ
ながってくるものと思います。つまり、「この会社は業績がいいから」と安心
して高値圏でも買っていると、皆がそう思って買った後は誰も買う人がなくな
り、最後には見切り売りや業績の伸びの鈍化などの悪材料が出て、下落してし
まい、逆に「この会社はだめだから」と売り続けていると最後には売る人がい
なくなり、底堅い動きから買戻しなどで相場が急騰する、というようなことも
あります。常に需給を考え、「買い場・売り場」を考えて行動していないと、
いつのまにかはしごをはずされたり、置いてけぼりを食らったり、ということ
もあるのです。

 自分で相場の方向性や企業業績の見通し、相場のサイクルなどを事前に考え
て置くことは非常に大切なことです。ただ、あまり事前に立てた予測にしばら
れても相場の動きを見誤ることになりかねません。しっかりと相場を見際め、
事前の予測を需給動向などを見ながら修正していうことが相場でうまく立ち回
るには必要なのではないかと思います。ここに書かれていることも突き詰めて
言えばしっかりと「需給、株価のサイクル、周りの環境」などを見極めて常に
自分のポジションを置くべきところに置くことが大切ということなのではない
でしょうか。



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